ちんこ?ほんこ?

今回のタイトルは勝負事などでよく使う茨城弁です。「ちんこ」と「ほんこ」は反対の意味で、すぐにピンときた方はきっと茨城弁上級者ですね。

まず説明しやすいほんこの意味から解説しますが、これは本気のことです。また、勝負事では本番という意味になります。

例) おめー今ほんこではたいたっぺ

訳) おまえ今本気で叩いたろ

これに対してちんこはその逆の意味ですから、本番の反対は・・・まあ、練習というようなニュアンスですかね。

これらの使い方ですが、パーぶちを例に説明してみたいと思います。パーぶちといえば、昔は子供の頃、男なら必ずやった遊びですよね。

え?パーぶちを知らない?
パーって言われてわかりませんか?
それなら、パスはどうでしょう?
それでピンとこない方、さすがにめんこといえばわかりますよね。

うちの方ではめんことはいわず、だいたいパーかパスと言っていました。
・・・で、パーをぶつ=打つから「パーぶち」です。すなわち、めんこ遊びのことです。

パーぶちでは一般的に相手のパーをひっくり返せば勝ちとなるわけですが、ひっくりかえした相手のパーを自分のものにできるルールが、いわゆるほんこ(本番)です。パーぶちは基本的にほんこでやっていました。実際、ほんこじゃないとつまんないですし。

一方、ちんこの場合は相手のパーをひっくり返してもそのパーをもらえません。ちんこが適用されるのはメンバー間の実力差がありすぎる場合です。例えば、小学1年生と6年生が一緒にやる場合など、1年生のパーが6年生に全部とられてしまうことを防ぐ、弱者救済策として採用されていました。そうしないと弱肉強食の格差社会になっちゃいますから(笑)。

例) そのパー取んねえでよ。ちんこって言ったっぺ

訳) そのめんこ取らないでよ。練習だって言ったでしょ

今回の本題とはちょっとずれますが、以前取り上げたぼっとん便所に負けず劣らずパーぶちにもいろいろなエピソードがあるんですよねぇ。
かなり記憶が薄れてはいるものの、パーの世界ではローカルルールみたいなのっていっぱいありましたよね。最もオーソドックスなルールは相手のパーをひっくり返したらもらえるというものでしたが、これだけだとなかなか勝負がつかず、ダイナミックさに欠けるんですよ。ですので、自分たちのローカルルールをプラスして遊んでいました。

私たちが最もよく取り入れていたルールは「差し込み」でした。これは自分のパーが相手のパーの下に入ったら、ひっくり返したのと同じになる、つまり、相手のパーがもらえるというルールでした。相手のパーに自分のパーを差し込んだような形になることから差し込みと呼ばれていたのだと思います。

それと、他によくやっていたのが「箱出し」という遊び方です。これはみかん箱(大きな四角い箱)を裏返しにして、その上で勝負を競うものなのですが、相手のパーを箱から出してももらえるというルールで、私たちは前述の差し込みもルールにプラスして箱出しをやっていました。

なかには、このようなルールはパー本来の遊び方ではないし、高度な技術がなくてもたくさん取れる可能性があってつまらないと思う人もいるでしょう。でも、実際のパーぶちの世界というのは、実は金がモノをいう世界でもあったのです。わかりにくいと思うので具体的にいいますが、要は値段の高いパーの方が強いってことです。値段が高いからといってブランド物があったり、素材が違うってことではもちろんありませんよ(当たり前だけど)。そうではなくて、パーは値段によって大きさが決まっているのです。

ほとんど使い物になりませんが、パーは一番安いのもので1円から存在していました。その次が2円。この2つは激弱です。
次の3円パーが一般的なパーの大きさで最もよく出回っていました。
さらにその上が5円。これがコストパフォーマンスにすぐれ、最も実用的なサイズといえるでしょう。
その上が10円パー。これは強いです。風圧も出るし、差し込みルールでも抜群の安定感を誇っていました。
さらにその上が20円パー。大きければ大きいほど風圧も出るので、もちろんこれも強いです。

この論理でいけば、さらにもっと大きい方が強いということになるのですが、実際はそうじゃありません。「差し込み」と「箱出し」が採用されることでそれを防ぐことができたんですね。ひっくり返すだけなら大きい方が強いのは誰の目にも明らかですね。でも差し込みの観点からみれば、大きい=多少のゆがみでも隙間ができる=差し込まれやすいことになります。また、箱出しでは大きければみかん箱からはみ出してしまう=落ちやすいという弱点になるのです。

ということで、差し込み&箱出しがあることで、あまり大きいパーを使う人はいなくなり、みんなが似たようなサイズでプレーすることができたのです。

・・・まあ、そうはいってもやはり10円パーは強かったですね(笑)